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Web交流会開催報告「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の予防と治療における中医学の対応について」

2020年04月16日

中国・武漢で治療に従事した張伯礼医師を囲んで
Web交流会「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の予防と治療における中医学の対応について」を開催

昨年末に発生し、世界に感染が拡大しているCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)は、日本においても感染者の急増に伴い医療供給体制の逼迫などすでに課題が浮き彫りになっています。

今回、感染症発生直後いち早く武漢の医療現場に赴き、2ヶ月に亘り1000人以上に中医学による治療を実践されてきた中国工程院院士であり中国中医科学院名誉院長・天津中医薬大学学長の張伯礼(ちょうはくれい)医師を講師に迎え、日本の医師、薬剤師や漢方・中医学専門の医療従事者によるWeb交流会が開催され、約730名が参加しました。

2020年4月11日(土)、日本時間19時00分から約2時間に亘り、日本中医薬研究会主催によるWeb交流会「COVID-19の予防と治療における中医学の対応について」が開催されました。協賛としてイスクラ産業株式会社は、司会進行、通訳などを担当しました。

交流会では、冒頭でゲストとして参加される金沢大学付属病院漢方医学科臨床教授小川恵子氏をはじめとする医師や薬剤師らが紹介され、その後、張伯礼氏からパワーポイントを用いて武漢での治療経験について講義が行われました。

講義では、COVID-19について中医学の視点から詳しく解説がなされ、「湿邪(しつじゃ:体内に過剰になっている不要な水分など)」が特徴で、「毒」が基本病機となっている「湿毒疫(しつどくえき)」に属するもので、病位は主に肺・脾を犯し、他臓腑にも影響を及ぼす疫病であるとお話しになりました。また、「湿毒疫」に対応する方剤や、張氏が診察にあたった患者の漢方薬治療の経過などについてもデータを用いて詳しく解説され、現代医学に中医学を取り入れた中西医結合の治療により、軽症患者の重症化率、重症患者の症状軽減と死亡率において、顕著な効果があったということが示されました。

講義の後、ゲスト参加者を交えた質疑応答では、中国で主に使用され、漢方薬併用群と非併用群の比較で症状の軽快や重症化抑制などにおいて有意な差が認められた「清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)」「連花清瘟(れんかせいおん)カプセル」「金花清感顆粒(きんかせいかんかりゅう)」「血必浄(けつひつじょう)」などの薬について構成などを解析した上、日本で入手可能な漢方薬に置き換えて症状改善や重症化予防のための方法などが議論され、「麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)」、「銀翹散(ぎんぎょうさん)」、「藿香正気散(かっこうしょうきさん)」、「五苓散(ごれいさん)」、「小柴胡湯(しょうさいことう)」、「葛根湯(かっこんとう)」、「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」、「生脈飲(しょうみゃくいん)」などでの対応が検討されました。

在日中国大使館領事僑務部参事官兼総領事の詹孔朝(せんこうちょう)氏が交流会に参加され、中日両国の多くの専門家がこのような交流を通して、日本においても中医学の力で新型コロナウイルスの感染を抑制し、人々の心身の健康維持に貢献することを望むと挨拶されました。

最後に、日本中医学会会長で平馬医院院長の平馬氏は、中医学は歴史上、多くの疫病との闘いにより発展が促されてきたこと、そして、COVID-19は中医学では「湿毒疫」として対応できること、中国の経験を日本の治療において役立てていくことなどをお話しになり、閉会の挨拶とされました。