厳しい暑さが続く夏は、一年を通じて最も体力を消耗しやすい時期。この季節を元気に過ごすためには、なにより日頃の健康管理が大切です。ここでは、夏の体調不良を3つのタイプに分けて、養生法をご紹介しましょう。
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「心」を守る
熱の影響が強い「暑熱タイプ」
このタイプの体調不良は、炎天下など暑さの強い場所に長くいることが原因。顔がほてったり、身体に熱感を感じたりしたら、暑邪の影響が現れ始めているサインです。
また、過剰な汗で、口の渇きやのどの痛みを感じるほか、熱が身体にこもってムカムカした感じがしたり、なかなか寝付けずに不眠に悩まされたり、といった症状が現れます。
暑熱タイプの体調不良は「心」への負担となり、悪化すると心不全など重大な病気を引き起こす要因にもなります。症状が軽いうちに、しっかりと対処しておきましょう。
庭の手入れや買い物など、日常の暮らしでも炎天下で長時間過ごすことは意外と多いもの。外出の際は、帽子や日傘などで強い日差しをやわらげる工夫をしてください。日射病でめまいや吐き気などを感じたら、冷たい水で顔を洗う、涼しい場所に移動するなど早めの対応を。症状がひどい場合は、すぐに病院で診察を受けてください。
「脾胃」をいたわる
湿邪をともなう「暑湿タイプ」
蒸し暑い日本の夏は、暑さに加えて「湿邪」の影響にも注意が必要です。冷たいものを摂り過ぎたり冷房で身体が冷えたりすると、水分をコントロールする脾胃の機能が弱くなり、湿邪が溜まってしまいます。結果、吐き気やおう吐、食欲不振、軟便、下痢、胃の膨満感といった脾胃の不調が現れるのです。また、頭が重く、倦怠感を感じるのもこのタイプの特徴。舌は湿っぽく、苔は白または黄色がかった色になります。
このような不調を感じたら、湿邪や熱を取り除き、脾胃を補う食べ物を食事に取り入れるようにしましょう。また、冷房の効いた部屋で長時間過ごすことはなるべく避けたいもの。オフィスなど調節ができない場所では、ときどき外の空気に触れる、ブランケットなどを用意してなるべく身体を冷やさないようにする、といったちょっとした心がけが大切です。
「肺」を補う
エネルギー不足の「気虚タイプ」
体内の「気(エネルギー)」が暑さで消耗したり、汗と一緒に流出してしまったりすることで、夏はエネルギーが不足しがちに。このような「気虚」の状態になると、夏やせや疲労感、倦怠感、といった症状のほか、多汗、動悸、息切れ、食欲不振などの不調が現れます。
気を補う大切な役割を担っているのは「肺」。身体に疲れやすさやだるさを感じたら、肺を補って気力、体力を充実させるよう心がけてください。
体力不足の疲れやすい状態では、夏の暑さにも負けてしまいます。また、夏の疲れは長引くことも多いので、秋を元気に過ごすためにも夏の間にしっかり養生して元気をつけておきましょう。